目次
少年野球監督という責任
今年から小学3年生以下を対象に少年野球の監督を担当している。
自分の息子が3年生であり、4年生以上は別のチーム(高学年枠)として区別されるため、それまでコーチをしていたメンバーから監督が選ばれる仕組みだ。
3年生以下ではパパママコーチも少なく、野球経験者である自分が必然的になったような印象。
それでも毎週末のこの時間は楽しみにしていたし、選手たちとボールを追いかける日々はコロナ禍の中で貴重で心が救われる時間だった。
拝命された時は嬉しさと同時に責任感が強かった。
もし怪我をしたら、野球が嫌いになったら、思わず大声でどなりつけてしまったら。。
中学校の部活まで野球らしいことは父親とのキャッチボールくらい。
時代としては練習中は水は飲めない、平気で殴られ蹴られする昭和のスポ根野球。
それでも高校まで続け、社会人になっても草野球が楽しくて複数チームに所属している。
今は教育者の自覚も芽生えつつある中で、彼彼女らにとって教育者に近い立場であることを痛感している。
(子どもたちはよく監督やコーチのことを先生と呼び間違える)
小学生への指導と距離感
今のチームでも過去には怒鳴り怒りちらす指導者がいたらしい。
親も見学に来れるので、行き過ぎた態度は報告され、指導者として注意、もしくは除名される。
1人の親として当然の処罰であり、私自身もいつそうなってもおかしくない立場だ。
これまでの経験も踏まえ、野球を通じてスポーツ、さらには体を動かすことが楽しいと感じてほしい。
そう願いながら今の練習方法や対話方法を試行錯誤している。
まだ10代になる前の本当に幼い子どもたちに対して、スポーツというルールが存在する運動方法であり、相手と対戦する競技を、複数のチームメイトと一緒に挑戦する、ということを教えるというとんでもない責任ある立場なのだ。
過去の自分が受けてきた指導方法や教師のふるまい、言動といったものを、決して模して行うものではない。
無給で小学生にスポーツを教えるメリット
毎週末はほぼ全てこの少年野球が入り、平日も練習メニューを考え、公式戦含め練習試合の相手とのやりとり、新しい選手募集のための活動、コーチ陣への様々な情報共有、監督同士の管理業務、総監督へのほうれん草。。。などなど、本当に仕事以上に仕事らしいリソースを消費している。もちろん無給。
それでもこの立場以上にメリットがあると思っている。
何より選手たち子どもの成長を間近に感じることができ、彼ら彼女らと一緒にプレーできること。
本当にみんな性格も違うし成長度合いも違う。それでもともに同じ時間を過ごし、一緒になってボールを追いかけることを楽しめる。
教育者の能力も必要
思い出したが、中学くらいはぼんやりと教師を目指していた記憶もある。
もちろんその時は野球部監督も兼務していて、偉そうに大声を張り上げていた自分を想像した。
今、その夢が叶っている。少なからず自分が考えた指導方針とメニューで選手やコーチが動いている。
それを少し離れた場所から眺めるとき、最高に悦に浸れるのだ。
またこのコロナ禍でこの時間が唯一のコミュニケーション取れる時間であり、同世代のパパママたちとバカな話もできた。これがあったからあの閉塞した息苦しい期間を乗り越えられたようにも思う。
子ども達の元気な姿や真剣に取り組む姿勢を見ると、本当にこちらまで刺激を受けるし負けてられない、状況や環境で折れてられない、と奮い立たせてもらった。
選手の将来につながる練習メニュー
小学校低学年に向けた適切な練習メニューはどんなものがあるだろう?
YoutubeでもインスタでもTwitterでも、とにかく様々な視点から運動方法や練習論が拡散されている。
低学年に論理的で技術にフォーカスした運動論は通じづらい。
学校の教育者ではないのだが、ここはやる気!元気!楽しく!といった生きる精神論も重要。
個人的にはティモンティの「やればできる!」が大好きだ。
できるまでやる、だと少し酷だが、彼らは可能性しかない。上達する要素しかない。
やればやった分上手になる。強くなる。それは間違いない。
その事実をわかりやすく丁寧に伝えるだけで、実はあとは自らは率先して工夫し鍛錬するとも思っている。現実はそんなに簡単ではないけれど。。
メニューとして基本は上記にある要素をベースに構成している。
まずは体作り、怪我のリスクを軽減する柔軟性と体の動かし方に注力したアップメニュー。
必須メニュー
- ウォーミングアップ
- ランニング
- 体操/ストレッチ
- 体幹
- アジリティ
- サイドステップ
- キャリオカ
- バック走
- 腿上げ
- リアクション
- ジャンプ走
- バットリフティング(低学年向け)
- ラダーアクション
- コーンアクション
最近はサッカーの練習からヒントを得て、アジリティ(瞬発力)強化に力を入れている。
ここではラダーやコーンを購入し、様々なアジリティ強化サイトや動画を参考にしてメニューに加えている。安価で手に入りやすく持ち運び便利なので重宝している。
次に野球にフォーカスした練習メニュー。
基礎練というと選手たちが嫌がるので、言い方を工夫して「レベルアップ練」としてる所がミソ。
最適化メニュー
レベルアップ練
- キャッチボール
- 正面投げ
- 頭ポンポン投げ
- 腕旋回投げ
- 体重移動投げ
- 塁間ワンバン
- 遠投
- クイック
- ティーバッティング
- トスバッティング
- 捕球
- つま先上げステップ投げ
- 3歩ゴロ胸引き上げ捕球
- 足踏み前進捕球
- 足踏み前進左右ランダム捕球
- サイドステップ連続捕球
チーム練
- ボール回し
- ノック(内野・外野)
- シートノック
- バッティング
- ピッチング
- スライディング
ゲームゲーム
- ベーラン
- ミニ紅白戦
- 盗塁/牽制バトル
- 競争ラン
レベルアップ練はその名の通り個人の能力向上を目的としたトレーニング。体幹を意識しながら基本的な野球の動作を徹底的に繰り返す。基礎練というとしんどい練習として嫌がるので、個々のレベルアップにつながるよという程で行うことが個人的なポイント。
特に守備が上手になればある程度試合になると思っている。バッティングは水物なのでその場その場で選手が思い切りやってもらえればそれでいい。
練習メニューの目的
得に力を入れているのがキャッチボールと捕球練習。
これは怪我防止も加味してできるだけ癖のない投球フォーム、捕球動作を教える。
同年代でも握力や身長、身体能力はバラバラなので、腕力ではなく自然な体の使い方から表現できる無理のない姿勢やフォームを意識している。
ぶっちゃげ選手たちが将来野球をやらなくてもいい。スポーツを続けていく上で無理のない体の動かし方、効率的な動作を意識してもらえたら満足だ。
他のチーム練は個人ではなくチームとして考え、相手に指示をし、コミュニケーションを重視した練習。これはまだまだ考察し磨き上げていく必要がある。
決して有名クラブでも常勝チームでもないので、野球を知ること、1人で戦うものではなくチーム戦略が必要なことをまずインストールしていき、チームメンバーのために動くことを伝えていきたい。
まずはカバーから。どうやったらアウトが取れるか。そんなところから。
ゲームゲームはとにかく楽しくワイワイやれたらそれでいい。
試合形式でやることで勝ち負けがつく。そこにモチベーションも生まれ、創意工夫が誕生するはず。
それぞれに考えさせ相談して合意したアイデアを実施させることに意味があると思う。
年齢を重ねるごとにここはより戦略的に、論理的にやる必要がある。大人も本気になるところ。
ここでも普段利用しているアイテムを紹介。
自分が子供の頃に比べると軽量化され簡単に設置されるものが多くて驚いた。
子供だけではない、パパコーチへの効果
少し話が逸れるかもしれないが、この学童少年野球を通じて、我々親への影響も多大にあると感じている。
他のチームも同様だと思うが、野球経験の有無を差し置いて子供と一緒にパパコーチが多く存在する。
もちろん私もその1人だが、自分の子供に対してはどうしてもキツくあたるし言葉乱暴になる。
どうして他の子と同じことができないのか、普段の変な癖がでて集中力に欠けているのが気になる、団体行動とれず身勝手に動きだす、などなど。
わかるオブわかる、なのだが、そこを我慢して敢えて自分の子供からは一線を引く。あえて距離を置く。
他の子には冷静に対応できることが多いので、自分の息子娘は別のコーチからの指摘を促す。
その影響か、練習や試合中でも必要以上の罵声が飛ばなくなった。
もちろんコーチ間である程度の注意喚起はする。
できるだけフラットに、自分の子供だけでなく他の子にも平等に指示やエールを送ってほしいと伝えることで、グッと我慢できることは親の成長以外何ものでもない。
個人的にはこの意義をとても感じており、将来の教育という面でも視点を広げ、俯瞰して自分や子供を見るきっかけになっていると感じてる。
それだけでも監督をやらせてもらってよかったな、と素直に感じている。
JSBB公認学童コーチの資格取得。さらに幸ある時間とすべく
最後に学童コーチ講習で学んだことを掻い摘んで終えたい。
講習自体は丸一日かかる結構ボリュームのあるものだった。
学術的なものから、その場で体を動かしインストラクターと一緒に体現するものもあった。
何より子供たちの体を知り、その安全に責務を持つことが何より重要と知った。
- 近年子どもに心臓しんとうという事故が増えている。強い衝撃から心臓が不具合を起こす。そのため野球に関しては、捕球などの際の胸で止めるという行為を禁止する
- 強い打球に対して正面に入り、目や歯に当たり失明や歯の欠損する事故も存在する。バックハンドでの補給を推奨する
- 現代の子どもは数十年前に比べて体力の低下が著しい。精神的にもケアが必要なケースも多い。簡単に骨折などの事故にもつながるため、指導者は自分達の子ども時代を参考にせず、骨折事故やメンタル不調を簡単に誘発する相手と認識することが望ましい
- 病院に行くことや診察することを躊躇しない。練習場所にあるAEDの場所を必ず確認すること。救急病棟や最寄りの病院の連絡先を常に把握しておくこと
講習で紹介されたスポーツ事故防止ハンドブックは全ての指導者に一読いただきたい内容であるため、ひとつでも子供たちが受ける事故が軽減することを祈りこちらに共有する。
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